艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「か、葛城さん……っ」
片手が、急にとんっと私の顎を下から突いて上向かされた。ぞくりとするほど、熱を孕んだ目で見降ろされていて。
キスをしながら、彼の手が開けたブラウスの中に触れる。両手の指が、優しく肌の上を滑る。
その心地の良さに、ぎゅっと目を閉じてキスを受け止めていたけれど、彼の指が首筋から鎖骨へと流れたときだ。
ぞく、と背筋が震えて、腰が抜けた。
ずるずると背中が壁を伝って落ちて、キスから逃れる。
気が付けば、私はその場にへたり込んでいた。
息が上がる。
とろん、と溶けた視界の中で彼が私の正面で屈んでいる。