艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
もう、これ以上何を言えばいいのかわからない。
機嫌の悪い父から少し目を逸らし、仏壇をじっと見ていると。
「……藍」
「はい?」
やっと、父が口を開いたかと思ったら。
「お前、あの男が好きなのか」
「は?」
「結婚したいと思ってるのか」
ぽかん、と口を開いて父の顔を見る。
言われたことを理解するのに数秒の時間を要した。だってまさか、『そっち』の方面で話を切り出されるとは思ってもいなくて。
理解した途端、じわっと汗が滲み出るほどに顔どころか身体中が熱くなった。