艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
どきりとして、息を詰める。
葛城さんがなんて答えるのか気になって、少し身体を乗り出した。
然程の間は置かれず、彼の答はあった。
「花月庵の白餡とこし餡は、どこにも真似できない技術があります。それを失われるのは惜しい。客筋の良さも財産です」
「当たり障りない言葉ではぐらかすな」
「どんな方法でもそれが葛城にも運用できればこちらはそれで良かったんですが……」
ずず、とお茶をすする音を間に挟み、再び聞こえた葛城さんの声は、ひどく優しいものだった。
「花月庵を潰すようなことになったら、藍さんが泣きそうですし」
きゅん、と胸の奥を掴まれたように苦しい。
本当に?
私の為?
「彼女を泣かせたら、顧客も技術も全部火にくべてしまいそうですしね、お父さん」
そんな冗談が続いたけれど、涙が滲むほど嬉しかった。
葛城さんがなんて答えるのか気になって、少し身体を乗り出した。
然程の間は置かれず、彼の答はあった。
「花月庵の白餡とこし餡は、どこにも真似できない技術があります。それを失われるのは惜しい。客筋の良さも財産です」
「当たり障りない言葉ではぐらかすな」
「どんな方法でもそれが葛城にも運用できればこちらはそれで良かったんですが……」
ずず、とお茶をすする音を間に挟み、再び聞こえた葛城さんの声は、ひどく優しいものだった。
「花月庵を潰すようなことになったら、藍さんが泣きそうですし」
きゅん、と胸の奥を掴まれたように苦しい。
本当に?
私の為?
「彼女を泣かせたら、顧客も技術も全部火にくべてしまいそうですしね、お父さん」
そんな冗談が続いたけれど、涙が滲むほど嬉しかった。