艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
え。
と、目が点になった。


ちょっと待って、結局どうせ呼ぶならなんで私をここで待たせてたのよ、最初からそっちに呼んでくれたら良かったんじゃないのか。聞けて良かったなと思える言葉も確かにあったけれど……それをこっそり聞いてた私に、今、出て行けと。


葛城さんの、反応がない。
意味がわかってないのかもしれない。


「藍!」

「はいっ!」


もう一度厳しく名前を呼ばれて、うっかり返事をしてしまった私は、観念しておそるおそる襖を開けた。
気まずい気持ちで、畳から徐々に視線を上げる。一番最初に目が合ったのは、葛城さんで。


……あ。前にも見た顔だ。


私が平手をお見舞いしてしまったときの表情、そのままだった。

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