艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
こんなこと、目を見てなんて言えない。
視線を伏せて、代わりに頬にある彼の手に、自分の手を重ねた。


ちゃんと、伝わるように、と。


「最初は……すごく、失礼な人だと、思った」

「はは。だろうね」

「それに、なんかいつも余裕たっぷりでいけすかないし」

「そんなことは、ないけどなあ」

「はぐらかすの上手だし」

「……悪口だね」

「不意打ちでファーストキスするし」

「それは、ごめん」

「でも、そんなんなのに、私を見る目がすごく、優しく思えて」


いつだって、優しかった。
言葉ははぐらかしても、私を見る目はいつも慈しむようで、だから余計に混乱した。


「考えてみれば、全部私に合わせてくれてて、すごく気遣ってくれてる気がして、ほんとの葛城さんの気持ちはどうなんだろうって、いつのまにかあなたのことで頭の中、いっばいで」

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