艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
キスをしながら身体の向きを変えさせられ、彼の腕の中で正面から向かい合う。


ああ。
私の身体、おかしい。


キスの快感を教えられるたび、こうして蕩けてしまうのが早くなっている気がする。
唇が少し離れ、はぁ、と息を吸い込む。
彼は私の唇の隙間を舐めて、くすりと笑った。


「入っちゃったね」

「……え?」


ぽや、と働かない頭で考えてから、視界いっぱいの彼の背後に目をやった。
寝室のドアが、彼を挟んで向こうにある。


身体の向きを変えさせられたとき、一歩中に進んでしまっていたようだ。
彼が私の目を見て微笑みながら、後ろ手にそのドアを閉めた。


「……昨日は、わざと逃がしたくせに」

「お父さんとの約束があったからね」

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