艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
そう願う私を察してくれたようだ。
「婚姻届けは出して、式は時期を見てしようか」
「やっぱり、和装がいいですか?」
「それは、花嫁さんに決める権利がある」
啄むだけだったキスが、ここで一度深くなる。
舌を絡めて離れると、互いの吐息がまた、熱を持ち始めていた。
「……葛城さんに、綺麗って言ってもらいたいから」
だから、和装がいい。そんな理由じゃだめだろうか。
彼の目に、一番きれいに見える私で、愛を誓いたい。
そう言うと、たまりかねたように彼が私の唇を貪る。
私は懸命にキスに応えて、彼の首筋に触れそうになった手を一度止めた。
私から彼の肌に触れるのは、まだ何か、恥ずかしい。
けれど、気付いた彼がキスをしながら私の手を取り、首に絡ませてくれた。