艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~


「あらあらあらあら、まあああ!」


葛城さんのお母さんは、すごく若々しい甲高い声の人だった。
見た目も、とても若い。


着いたとたんに大歓迎を受け、ダイニングテーブルの椅子のひとつを勧められ、大人しく座る。きちんと挨拶をしようと思うのに、お母さんの勢いに負けて口を挟む隙がない。


「あんた! ちゃんと挨拶は済ませたの? 顔合わせはいつするの?」

「済ませたし、顔合わせは近いうち。店休んでこっちに来てほしいんだけど」

「もちろん行くわよ、あんたまだ手は出してないでしょうね!」


どうしてあっちでもこっちでも手を出したかどうかに重きを置くのか。
葛城さんのお母さんは、彼がひとことで表した通り、本当に『かしましい』人だった。
彼はさらりと、嘘を吐いた。


「はいはい、まだ出してないよ」


「ね」と私に同意を求めるものだから、かああ、と真赤になる私にご両親の視線が集中してしまった。


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