艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「……それに、そう長くうちにいる予定じゃないしね。理由があってしばらくの間だけ」

「そうなんですか?」


再就職まで仮雇用ってことなのかな。もうちょっと詳しく聞こうとしたけれど。
見上げれば、彼はまた目を閉じていて、やっぱり今する話ではないと口を噤んだ。


ぽかぽかと温かい彼に抱きしめられていると、ずっとこうしていられるならなんだってできると思う。ささいな疑問に目を閉じることと、信じることとの区別が私にはわからなくなっていた。


恋って難しい。


また恋愛ホットラインに相談してみようと思いながら、彼の寝息が聞こえてくるまでしばらくそうしていた。

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