艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~

「絵里はどこかな。彼女と話がしたい。それだけだ。なのにちっとも応じないからこんな真似をする羽目になってるんだけど」


私たちも歩き、葛城さんに近づき過ぎない距離を保って階段の隅で止まる。


「無理やり捕まえようとするなら、ここから藍ちゃん落ちちゃうよ?」


フロアの半分以上を使った幅広の階段だ、葛城さんとはまだ距離がある。足元を見て、ぞっとした。途中、踊り場がある。一階まで転がり落ちることはないだろうが、それでも十分恐怖を感じる高さだった。


葛城さんが、すっと目を細める。


「柳川さんがまさか、ここまで御手洗に執着しているとは思いませんでしたよ」
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