艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「執着なんてもんじゃないよ。これでもそれなりに愛してたんだ。関西に出向したときは必ず彼女のために時間を作ってた。なのにあいつ……簡単に寝がえりやがって」
「……バカバカしい妄想はやめていただきたい」
葛城さんが忌々し気に眉を寄せ、ため息を吐く。
「妄想だと? そんなわけ」
「こっちは助けを求められていい迷惑なんです。勝手に結び付けないでほしいんですよ」
「誰だってそう考えるに決まってるだろう。だから藍ちゃんだって不安になったんだ。ね?」
「え?」
突然話を振られて、斜め後ろの柳川さんを振り仰いだ。
「葛城を疑って調べてたんだよね。だからこうして俺に協力してくれてるんだ」
「ち……違います!」
慌てて否定し、葛城さんに視線を向けた。彼はじっと、私と柳川さんを交互に見ている。