艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
この瞬間が幸せ過ぎるから、離れると寂しくなるのだろうか?
そもそも、暇すぎるのがいけないのかもしれない。


専業主婦、向いてないのかなあ。
でも、いつか仕事をするにしても、しばらくは無理だし。


食事を終えて、リビングでくつろぐ間もついぴっとりと彼の真横にへばりつき頭を摺り寄せながらそんなことを考えていると、くすっと笑う声がした。


「この頃随分、甘えてくるようになったけど」
「……そうかな?」
「無自覚なわけはないよね」


もちろん、よくわかってるんですけども。
無自覚ではないけれど、わざとではないというか。身体が勝手に、くっつくことを欲してしまうだけなのだ。


「そんなに寂しい思いをさせてるかなあ」


よいしょ、と彼が私の身体を抱え、膝の上に座らせる。
私の頬に手を当て、唇を何度か啄んだ。


「またふたりで旅行にでも行こうか。藍の体調が良いときに」
「もう安定期には入ってるから大丈夫ですけど……」


旅行もいいけれど。
今の私には、どこに出かけずとも、こうしてくっついている時間が何よりの贅沢だ。


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