艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「けど、なに?」
「ゆっくり、出来る方がいい、です」
つまりは、どこに出かけるよりもふたりだけの時間が欲しい。
私の言いたいことが伝わったのか、彼は苦笑いとキスで答えてくれた。
啄むだけの優しいキスを繰り返し、それだけでもふわふわと綿菓子みたいな心地になる。
でもそれだけじゃ、物足りなくて。
きゅっと圭さんのシャツを握り、もっとと催促するように私からも唇を寄せていた。
「藍……」
重なる唇の隙間から、甘く囁かれた私の名前と共に溢れた吐息が、熱い。
伝染したように、私の体まで火照り始める。
舌を差し出したのはふたり同時だった。