艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
こんな時間に誰だろう?
インターホンの液晶画面を見れば宅配便の制服が見え、「はあい」と返事をして玄関に急いだ。
受け取った郵便物は、A4サイズの封筒で、送り主の名前を見て一瞬だけこくりと息を飲む。
「ありがとうございました」と宅配のお兄さんにお礼を言ってドアを閉めてすぐ、封を開けながら部屋の中にもどり、ローテーブルの前に座る。
送り主の名前は、葛城圭。
来た、と思った。
一度深呼吸をしてから、袋の中に入っているものを取り出す。
詳細は書面で、と言っていた。
兄も結局は、最後は私に何かを隠したような節がある。きっと、葛城さんと私の縁組が成立することで、花月庵にもたらされる救済措置がそこにあるに違いない、と考えていて。そこに、一縷の望みも持っていた。