艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
目を開けた途端、汗が目に沁みた。
けれど構わず開き続ける。

「け……圭、さん」

なんでここにいるんだろう、って思った。
スタンプを送ってから、そんなに経った? 経ってない? もうわからない。

「藍、ごめんね待たせた」

私の顔を覗き込む彼の額に、汗が滲んでいた。
間違いなく、圭さんだ。そう認識した途端、ぶわっと涙が溢れた。

「う、うううっ」
「大丈夫、落ち着いて息をして、ゆっくり深呼吸」

私の手を握りしめながらそう言う彼に従って、ゆっくりと息を吸う。
そうだ、母親学級でもちゃんとそう習ったし、さっきから看護師さんも多分そう声をかけてくれていたのだと思う。パニックになってしまった私には聞こえていなかっただけで。

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