艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
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「ほらほら、お父さんも抱っこしなさいよ、初孫よー」

母の腕の中で、白い産着に包まれた和香のどかが小さな声を上げた。
「ふや」と、猫の子のような声に、父が固まったまま病室の壁にへばりついている。

「ほら、お父さん」
「お父さん、抱っこしてあげてよー」
「俺はいいっていってるだろう」

私が妊娠したと連絡した時も、まったく動じずに「そうか」と言ったきりだった父親だ。が、私がいないところで母にこそこそと、ベビー用品を買わなくていいのかとかお前がしっかり教えてやらないととか攻め立てていたらしいことは聞いている。

 偉そうにお母さんに言っといて、いざ自分は抱っこもできないなんて。

呆れていると、母がくすくすと笑った。

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