艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「葛城さん、あの……」
目の前まで葛城さんが近づいた時、急な祖母の同席を詫びようとしたのだが、彼はふわりと微笑んで私を見る。そしてすぐに祖母に視線を戻し、斜め前で腰を折った。
「望月さん。こんにちは。先日は大変失礼しました」
「先日?」
「お誕生日だと聞いて、不躾にも花束を贈らせていただいて」
祖母の歩みに合わせて斜め前から身体を徐々に動かし、私が左側とは反対隣に並ぶ。話しながらさりげなく、祖母の手を取ってエスコートした。