艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「食事の後でご案内しましょうか」
葛城さんは、その後も終始祖母に話しかけ、祖母の昔話にも嫌がることなく耳を傾けた。
そんな面を見ていれば、政略結婚かもしれないけれどもしも彼が誠実でいてくれるなら、こんな出会いも良いのかもしれないと考えてしまう。
花月庵のことがあるから、祖母を気遣っているだけかもしれない。だけど、表面上取り繕っているだけなら、これほど細やかに気を利かせることはできないのじゃないだろうか。
いや、だけど。良い人だったら、店を盾に政略結婚を迫ったりはしない。
ぐらぐらぐら、ぐるぐるぐる。葛城さん、という人物像が、まだ私には捉えきれない。