艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
「望月藍です。はじめまして」
「はじめまして、柳川誠司です。望月さん、ということは」
「俺の妹ですよ」
兄が答えると、やっぱりと笑ってうなずいた。
「花月庵さんのお嬢さんでしたか。ということはカツラギと花月庵が資本提携するという噂は」
「女性に聞かせる話ではありませんよ、柳川さん。もっとも、大切な人のご実家を守るのは当たり前のことですが」
私に背中を向けていた葛城さんが、半身だけ振り向いて左手を差し伸べる。柳川さんの話を詳しく聞きたい、と思ったが振り向いた葛城さんとぱちっと目が合い、何か促されたような気がした。
なんとなく、『ここか』と悟る。私と葛城さんの婚姻を一番匂わせたいのは、柳川さんになのだ、きっと。
差し伸べられた手に、右手を乗せる。左手で口元を隠し、ちょっとだけ視線を床に落とした。
「……恥ずかしいこと言わないでください」
照れたフリでそう言ってから、視線を上げて葛城さんを見上げる。
満足そうに優しく微笑んでいた。