艶恋婚~御曹司と政略結婚いたします~
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会場の端のテーブルはスイーツばかりが並んでいて、色とりどりだ。
プリン、ショートケーキ、ババロアにクレープ、すべてたくさん種類が食べられるようにミニサイズになっている。


私は、隅の方にあった和菓子をひとつ、お皿に乗せて壁際にある椅子に座った。
ひとくち口に含む。


「んー……」


まずくはない。
が、花月庵の方がもちろん美味しい。
細工の美しさも全然違う。


……なんて思うのは身内びいきなのかな。


寂れていく花月庵。
それはやはり何かが足りなかったのだろうか。


だけど、もうひとくち含めばやはり思う。
花月庵の練り切りには遠く及ばない。


だからこそ消えゆくのは哀しくて胸が痛くて、花月庵の味を守ってきた家族の一員として私も何かしたかった。

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