ハツコイ

「送ってくれてありがとう。」



ずっと相合傘をしたまま、私の家まで付いてきてもらってしまった。



「こっちこそ、入れてくれてありがと。」



もっとクールなのかと思っていた安座間くんは、本当に本当に優しい人だった。



今も、ほら。



にっこり微笑んでくれてる。





「これ、持ってって。」




さしていた傘を安座間くんに渡す。





「ありがとう。じゃ、また明日。」




「うん。またね。」




くるっと背を向け、傘をさした安座間くん。




その後ろ姿を見ていたら、何だか寂しくなった。





明日学校で、また話せるかな?




いつも通り、ちょっとクールな安座間くんに戻っちゃう?




…そんなことを思っていたら。




「どうかした?」




いつの間にか、見られてたっ…。




そして安座間くんは、目をそらしながら言ったの。




「あのさ、倉科…。連絡先教えて?」





少しは、安座間くんも同じ気持ちでいてくれてるのかな?




「うん、もちろん!!」





そう思うだけで、さっきの寂しい気持ちは薄れていったの。
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