秘密の約束。
あたしはランドセルから封筒と便せんを取り出した。


睦月とおじちゃんに遺書を書くんだ。


もしかしたらもう会えないかもしれないおじちゃんと悲しむかもしれない睦月に。

睦月のほうをちらっと見ると


机に顔を伏せて寝ているようだった。



睦月から書こう。

あたしは鉛筆を必死に動かして遺書を書くのを頑張った。


あーちゃんとみっちゃんにも。

おばあちゃんにも。


施設の先生。


いろいろな人にお世話になった。

いろいろな人に迷惑をかけた。

だからみんなにせめて手紙を書きたい。



放課後まで書ききれるかなあ?

ちょっと授業も書いちゃおう。




死ぬことに怖さはあった。それよりも憎しみや恨みが勝っていたんだ。

だから今は怖いより緊張していた。

本番は一回しかないから。
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