秘密の約束。
「着いた」

睦月に連れてこられたのは…とある児童施設だった。

睦月は門をズカズカ入っていく。

「勝手に入って大丈夫なの?」

門の前で躊躇していたあたしは大声で叫んだ。

「俺のいてた所だから、大丈夫だよ。」

俺のいてた所。


おばちゃんに引き取られるまで、お父さんのとこにいるんだと思ってたけど

そんな訳ないよね。

キョロキョロしながら中に入る。

「あ!!睦月兄ちゃんだぁ!」

子供がわーっと集まってきた。睦月の顔はさっきとはうってかわって穏やかだ。

「ねー、この人誰?彼女?」

「遊ぼー」

「今日はおままごとがいいな!」

口々に自分のしたい遊びを言う子ども達に圧倒される。

あたしも両手を引っ張られて体がちぎれそう。
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