秘密の約束。
「でも、おばちゃんに言わないかな?だって、実の娘の子供なんでしょ。」


うーん。苺香にしてはなかなかいいとこについてくるな。

おばあちゃんは絶対言わないよ。
絶対に…。


あまりいい言い訳が思いつかなかったので無視した。

もうすぐおばあちゃんの家だ──────



俺は呼び鈴を押した。きっと水瀬が出るだろう。水瀬と会うのも久しぶりだな。

『はい…どちら様でしょうか。』


『睦月。』


『睦月様でございますか。少々お待ちください。』

しばらくすると門が開いた。
放心状態になっている苺香を俺はまた強引に引っ張っていく。

「すごく広いね。」

広いけど中にいるのは年老いた夫婦とメイドだけ。
少し大きすぎるんじゃないかと思う。



「俺、将来は……」


苺香に言おうと思った。だけど言ってしまうと俺のことを苺香が別世界の人のように感じてしまうんじゃないかと思って、言えなかった。

俺は将来、ここの家の会社を継ぐんだ。
< 89 / 206 >

この作品をシェア

pagetop