おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
「オレってさ、昔からそうなんだよな…どこにいたって都合よくいろいろ頼まれちゃってさ…断れなくて。
だからって、やまうらさんに仕事して下さいなんて言えねぇ…笑」


無理して笑っているけど、職場の事と合わせて自分の性格の事も深く悩んでいる潤くんの心の奥が見えてきた気がした。


「たださぁ……」

黙ったままキレイな横顔を見つめていると、潤くんはより真剣な口調で続ける。


「あこに対して、ムチムチしてるとか…そういうのあるじゃん?あれはマジでいい気しないよね…」


あっ、本気なんだなってストレートに伝わってきて…
目の前にいる潤くんと、やまやま、佐藤くん…3人の関係がどうなってしまうのか…不安になった。
こんな時、わたしはどんな反応をしたらいいのかわからない。


やまやまはあんなんだけど、わたしは何度も支えられてきたし…でも、目の前にいる好きな人が悩んでいる。


拗れていきそうな関係を、わたしにどうにかする事が出来るのかな?


やまやまと佐藤くんのあの日の空気感が蘇ってしまって、わたしは潤くんの身体に身を寄せてギュッと抱きついてみた。


ふたりの関係が一歩進んだその先で、潤くんの心の内が見えたことは嬉しくて…

解決は出来なくても、寄りそう気持ちだけは示したくて...



「潤くんが、毎日楽しくいられる方を選んでほしい」


言葉にウソはなかった。



この言葉が潤くんの背中を押し、あの嵐の巻き起こる夜に繋がる事になるなんて…


この時、これっぽっちも想像していなかった。


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