おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
翌日


佐藤くんの言った通り、店長が帰ってすぐやまやまが出勤してきた。


「もうさーオレって優しいからさぁーイタ子ちゃんが変な男に絡まれたら困るから早く来てやった。どう?天使に見えるでしょ?」


「はいはい。笑」


「まさか昨日、けいいちも同じ事した?」


わたしはコクリと頷いた。


「やっぱりかぁー、先こされたかーくそー」

と、笑いながらうな垂れるやまやま。



「なに争ってんのぉ?笑」


「オレの天使が…台無しだ。」


なんて本気なんだか冗談なんだかわからないやまやまは、通常通り潤くんについて″東京ではっちゃけてたりしてー″とか、わたしをからかって意地悪に笑った。








「じゃあお先にー」


なんていつもの様に手を振ろうとした時、やまやまの携帯が鳴って


「ん?けいいち?」


と、不思議がる声にわたしは足を止めた。


「もしもし、どしたの?」


と電話に出たやまやま。


「はっ?大丈夫かよ?さすがにオレは無理だな…おい?!大丈夫かよ?他当たれる?」


電話を切ったやまやまに


「どうしたの?」と聞くと。


「いや…なんか熱がどうとかで…まぁ大丈夫だろ」


と、曖昧な事しか言わない。
わたしは気になりながらも、あまり突っ込んだ事は聞けず…いつも通り手を振って店を後にした。




車に乗ったわたしは潤くんと約束していた電話をしようと携帯を開いた。



でもやっぱり気になって、潤くんではなく…佐藤くんに電話をかけた。
初めてかける電話に多少の緊張があったけど、通話ボタンをあっさり押していた。
何度かコールされてやっと電話に出た向こう側で、激しい咳と変な呼吸音がしてわたしは慌てて呼びかけた。



「佐藤くん?!聞こえる?あこだよ!今どこにいるの?」


< 159 / 187 >

この作品のキーワード

この作品をシェア

pagetop