おもかげlover...〜最上級に最低な恋〜
帰りの準備をして、キッチンへ向かう足取りはとっても軽い。
キッチンにはやまやまが1人雑誌を読んでいて、水島くんはブースの掃除にいっている様だった。
わたしはやまやまに近寄ると、パシッと腕をたたいた。


「なんだよ!笑」

と、ニヤッとするやまやま。
わかっているくせに…。

「何であんなこと聞いたのぉ?」

小声で聞くわたしにやまやまは笑っている。

「よかったじゃん、予定ないってよ!」

「そういう問題じゃなくて!」

クックックと笑いながらやまやまは

「オレ、優しいでしょ?天使かと思っちゃうでしょ?笑」

なんて…
わけのわからない事を言って雑誌をペラペラめくっている。

「そーいうことを、しなくていーの」

やまやまの腕をつかんで揺らしながら、わたしは今後こんな事をしなくていいと伝えた。

わかったわかった。と絶対にわかってなさそうな顔つきで言うやまやまに、

「じゃあ帰るね」

と、手を振って…
水島くんが掃除しているブースに向かった。
水島くんはとてもキチンとブースの掃除をするタイプらしく、店長が絶賛していた事が頭に浮かんだ。

ブース内をのぞいて、水島くんの姿を確認した。

「お先に失礼します」

とやまやまには見せない笑顔を向けると、水島くんも変わらぬ優しい笑顔で

「おつかれさま!
また明日…よろしくお願いします!」

と言ってくれた。
こんなちょっとの事でわたしの心はポカポカに温まっていく。

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