溺愛銃弾 ~フルメタル・ジャケット~
「なら、あんまり俺を怒らせないで欲しいねぇ」

冷笑した気配。
俺、・・・って。初めて聴いた。そこに一番驚いてた。

「おいで樹」

有無を言わせず寝室に向かった陶史郎さんは、ベッドの端に並んで座ると顎の下に手を掛け、上向かせる。

「・・・前にも言われたことがあるって顔だね」

返事の代わりに目が泳いだ。

「誰に言われた?」

口調は穏やかに。でも放つ冷気は誤魔化しが通用するとは思えないほどで。大人しく従う。

「・・・・・・お父さんの葬儀の時に組長さんが話してるの・・・聴いたから」

見据える眼差しが揺れたのを。哀しい気持ちがしたのは、彼には聴かせたくなかったからだと。・・・今になって分かった気がした。
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