アッファシナンテ

窓の外を眺めているお嬢様の
視線の先には違う景色がある。
今、見えているネオンが輝く街ではない。
もっと別のお嬢様にしか
見えない景色が広がっている。

春川「いいんですよ、お嬢様。
崎本様をずっとお待ちになっていても。
それはお嬢様の決める事ですから。」

花恋「分からないの。」

春川「何が分からないのですか?」

花恋「崎本さんの事は大切なの。
崎本さんと過ごした時間は
とても楽しかった。
彼に死んで欲しくない。
彼が無事に日本に戻ってくるのを
待ちたい。そう思うの。」

春川「お嬢様がそう思われているのなら
待てばいいのですよ。」

花恋「でも、大切って
言葉だけじゃ足りないの。」

春川「...え?」
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