アッファシナンテ

光「じゃあ、今日は
辞めておこうよ。」

花恋「どうして?」

光「花恋の手料理は
俺が1番に食べたい。」

花恋「ふふ。あなたって本当に
ロマンチストなのね。
分かったわ。今日の料理は
シェフにお願いしておくわ。」

光「うん、じゃあ
仕事に戻るよ。」

花恋「ええ。」

幸せだった、本当に。

藤堂ホールディングスの社長という
肩書きは正直、重荷だけれど
花恋と結婚したのだから仕方がない。

別の誰かにその座を譲る事を
ほんの少し期待したけど
旦那様はそうしなかった。

君の能力を買っている。
そう言って、私に譲ってくれた。

大好きな人の顔を毎日見られる。
執事としてではなく夫として。

お世話になった人に恩返しが出来る。
執事としてではなく息子として。

何としてでも頑張るしかなかった。
ポッと入ってきた新参者が
社長になる、社内の風当たりは
予想以上に厳しいけれど
それでも、頑張るしかなかった。
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