運転手はボクだ
コンコン。

「…俺だけど、まだ起きてる?」

鮫島さん…。

「はい、起きてます」

「構わなければ、少し話せないかな」

…何の話だろう。

「…あ。ごめん」

「え?」

「ごめん。まずい?かな…」

「え?」

何?…急にドキドキした。…静まれ…心臓。まずいって…何?……な、に。

「スッピン?…」

あ、…は。はぁ。…それでしたか。

「大丈夫です、それは、仕方ないので」

改めて言われても…お風呂上りでまた化粧をするなんて…。
カチャ。ドアを開けた。

「あ、いい?」

「はい。ここで話しますか?ダイニングに?」

「あ。…あ、そうだな、千歳が寝てるから…」

「ではダイニングで」「ここで」

「え」「あ…」

「いや、ドアを開けておけば、その方が、千歳が起きたら解るし」

ああ、そうだ。私は、…大してうるさくもないだろうけど、話し声とかで起こしてはいけないと思ったからダイニングでと言ったんだ。

「では、ここで」

「いい?」

「はい。どうぞ」

言われたようにドアを開けておく事にした。
座る場所はベッドしかなかった。少し距離を取り、座った。

…。

「何だか…千歳が」

千歳君の事だ…。ですよね。

「あー、はい。フフ、何も、気にしないでください。あんな可愛らしい事を言うなんて、思いもしませんでした。フフ。ただ、ビックリしてしまって。あ、慣れてなくて…上手く直ぐ返事も出来なくてすみません…」

「いや…、告白もだけど、一緒に風呂に入ろうとか…本当、突拍子もない事ばかり言うから、ごめん、困らせてしまって」

「大丈夫です、子供なんですから」

「そうなんだけど」

…。

時々こんな沈黙。どうしてもなってしまう。

「有り難う」

「え?」

いきなり…お礼。今の沈黙は何を考えていたのだろう。

「何の関係もないのに、千歳の為に、つき合ってもらって」

あ。そう言われてしまうと…そうなんですが。

「なんでなんだろう…」

「…え?」

「君がいい人だから?」

「それは、そんな事は…ないです。普通だと思います」

「…普通か…。俺も…なぜだか、千歳に駄目だって強く言わなかった。…駄目なんだけど」

…。
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