運転手はボクだ
「甘えてしまったんだと思う。君の人柄に。だから、千歳がこんなに我が儘を言う事も無かったから。俺は……何から言ったらいいんだろう…」

…。

「今まで二人で、何もかも過ごして来たのに、ちょっと脇から現れた人間に日常を乱された。そんな感じだと思います。これは…」

中途半端に関わってはいけない、そういう決定的な部分だ。

「…日常ではない事だ」

「はい、そうです」

「だから、習慣付いてはいけない事だ」

「…はい。…そうですね」

「千歳が勘違いしてしまう…」

「…はい」

はぁ…。それは、線を引いておかないと、ちゃんとした認識がない、悪気のない求めに繋がるからだ。

「……千歳には…ちゃんと、今度からは強く言うようにするよ。多分もう、千歳の中では、知らない人じゃない、凄く一緒に居たい人になってるから。今のままではいけない…良くないから」

…はい。

「とと~?」

あ。

「とと?ととー!どこ~?…とと?」

「あー、起きたみたいだ。今日も興奮してるから。
居るぞー、ここだー」

「行ってあげてください」

「ん。何だか…中途半端になってしまった。…子供が居るという事はこういう事なんだよ。都合いいプライベートは無いに等しい…。
吉田さんの奥さんが何か言ったかも知れないけど、特に気にしないで。
じゃあ、ゆっくり休んで?」

…え?今のは…。

「とと」

「ああ、ごめんごめん。起きて来たのか、怖かったのか?」

抱き上げた。

「ううん。ととがいなかったから。オシッコにいってたの?あ、えみちゃん!」

「ん?…ああ」

「とと、て、つなぎにきたの?」

「あ゙。…何を言って、…違うよ…」

「じゃあ、なに?」

「何って…」

「お話し合いよ?」

「おはなしあい?」

「そう、お話し合い。もう済んだからね」

「ねえ、ととー、えみちゃんといっしょにねたい」

「あ、千歳…」

…。

フフ。はぁ…。本当に…大人が中に隠れて居るんじゃないかと思ってしまう。言葉だけ聞いたら、はぁ…半端ない誘惑だ。
無邪気な言葉がそういう風に聞こえてしまう私も、千歳君に影響を受けて、何やらおかしくなってるのかも。
…そう、おかしくなってるんだ。

「…駄目だ」

「どうして?きらいだから?」

あ。違うのよ?そうじゃないから。

「そうじゃない。強くなりたいんだろ?だったら一人で寝ないと」

「…う、ん」

何だか…捻じ伏せられた感じがする。ふぅ。普通なら、ママを欲しがる年齢だものね…。
私とは、もうこれ以上親しくしちゃいけないって言葉ではっきり言えないから。
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