運転手はボクだ
コンコン。
「…おはようございます」
千歳君も起きたし、隣りをノックした。
「あ、おはよう。大丈夫だった?」
…。
「はい…」
「ん?千歳…なにか」
「いえいえ、なにも」
変な間を作っちゃったけど、言えるものでもないかな。んー。ていうか、話す事でもないよね。
「とと」
「千歳、いい子だったか?」
「うん。えみちゃんのおっぱいでねた」
…。
「おー…ぱ、い?……まさか、千歳」
鮫島さんがギョッとした顔つきになった。
「あっ。それは、何でも無くて。違います違います」
慌てて手を振った。
「ととと、いっしょにねるときみたいにねたよ?こうやって、ねた」
抱き上げられていた千歳君はピタッと鮫島さんの胸にくっついた。
「それでね、とととちがうよ?えみちゃんはね、フカフカした。えみちゃんはね、やわらかいんだよ?」
…。
「あ゛、千歳……。はぁ…やっぱり千歳が…」
…軽く頷いてみせた。
「はい。でも大丈夫です。その、それだけの事です。ね?千歳君、抱っこして寝たのよね?」
「うん。ちゃんとねた」
「言ってる通りに、その…直ぐ、ぐっすり寝ましたから」
「いや、しかし…」
「謝らないでください。子供だったら…する事ですよね。抱いて寝ただけです」
「でも」
「私がいいと言ってるのですから」
「はぁ、申し訳ない。本当、気が回らなかった」
「駄目です。謝らないでくださいと言ったのに」
「しかし…」
「無垢の子供のしたことですよ?大丈夫ですから」
「ねえ?おはなしあい?けんか?ねえ、とと?…」
これ以上は…よく解らない千歳君が困惑するだけ…。
階段を駆け上がってくる音がした。
「喧嘩?どうしたの?朝食の支度が出来ましたよ?
おはよう、千歳君」
「おはよう!」
「お着替えする?おばちゃん、手伝ってあげようか」
「じぶんでできるから、いい。えみちゃん、きて?」
え?…あ。降りると私の手を取って部屋に入って行った。
「アラアラ。フフ。息子君の方がずっと積極的ね?」
「あ、何言って……。積極的も何も…はぁぁ、急にませてきたって言うか…。まあ、普通なら普通の事なんだけど、もう…参りましたよ…」
「ぇえ?どうしたの?」