運転手はボクだ

「素敵な名前だと思います、こうして名付けた理由を知ると、余計、思いのこもった素敵な名前です。…妹さんご夫婦も喜んでいらっしゃるのではないでしょうか」

「…だといいんだけど。こればっかりは解らないから…」

「喜ばない訳がありません」

「え？」

「…亡くなる寸前、凄く悔しかったと思います。私が代わりになんて語れないけど。出産を目前に、そこまで…お腹の中で大事に大事に育てて来て、もう、会える直前で…。
生まれて来たら、千歳君とのこれから…。沢山想像してたと思うんです。
ご兄妹の関係性はどんなモノだったか私は知りません。でも、お兄さんが居てくれて良かったと、きっと思ってると思うんです。
千歳君は、あんなに素直に育ってる…。きっと、喜んでくれてると思うんです。あ、まだまだ、成長過程ですから？まだ、気は抜かないでよね？て、思ってるとは思いますけど」

…。

「あの…、私、子育ての経験もないし、知った被った事も言いますけど、…それでも、…そんな私でも、何か言って、しんどい時の捌け口にでもなれるなら、いつでも言ってくれて大丈夫ですから。聞くだけならできます。…難しく考えなくて…、そんな感じでいいんじゃないかなって思います。私の事は、千歳君とは知り合いのおばちゃんで…」

千歳君にとっては、亡くなったパパとママがずっとパパとママ。だから鮫島さんだって、ととと、呼ばせている。

「連絡先、交換しました。お互いの住まいだって知ってます。
例えば、鮫島さんが休みたい時、急な病気の時、預かれますよ？…知り合いになったのは、何か縁でしょうから。大丈夫ですよ。」

…。

「今まで一人で頑張って来て、今更他人に甘えるなんて、て、思うかも知れませんが、出来る環境に居る時は甘えたっていいと思います。それも…巡り会わせたタイミングだと思えば…」