運転手はボクだ
「…とと?」

「あー、目が覚めたのか」

ちょっと、騒がしかったか。
和室は気密性に欠けてるからな。

「…えみちゃんは?」

目を擦っている。

「んー?もう寝たと思うよ。千歳も寝よう。あ、オシッコは?行っとくか?」

「ううん、だいじょうぶ」

「大丈夫か?じゃあ、寝よう」

「うん」

よっこいしょと、抱き上げた。

「とと、えみちゃんといっしょのおうちになってうれしい?」

…本当に…千歳は恵未ちゃん恵未ちゃんだな。

「んー…そうだな」

「ぼく、うれしいよ。…あのね」

「んー?」

「きょう、えみちゃんがおむかえにきてくれた」

「うん。今日だろ?行けなくなってお願いしたんだ。…嬉しかったか?」

「うん。それでね、みんながね、ママなの?って」

「…ん」

「ちがうよって、ママじゃなくて、えみちゃんだよって」

「う、ん…そうだな」

「ぼくのママはいないからって、いった」

「そうだな。よし…降ろすぞ?」

「うん。…とと?」

「んー?」

「しゃちょうはえみちゃんすきなの?」

全く…、鋭いな千歳は。

「ほら…布団、掛けるぞ。それは聞いてみないと解らないな」

「ぼく、すきだとおもうよ。だって、いっつも、えみちゃんて、よんでる。ぼくもえみちゃんて、いっぱいよぶもん」

「そうか…。だったら、きっと好きなんだな」

「ううん、ちがうよ。すきじゃなくて、だいすきなんだよ、しゃちょうも」

「…そうか。ハハ、そうだな、千歳は恵未ちゃん、大好きだもんな」

「うん。はやくおおきくなれなくてもつよくなるんだ」

「千歳…」

「なに?」

「甘えてないか?恵未ちゃんに」

「あまえてないよ?」

「そう、か…」

自然と頭を撫でていた。そうだよな、千歳に何が甘えかなんて、解るはずもないか…。普通に子供なんだから。
恵未ちゃんの言う通りだよな。
気持ちのまま、素直に行動してるだけだからな、千歳は。
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