運転手はボクだ
「私達も行きましょう。二人だけだと、どちらも夢中になると、何が起きるやら、心配です」

「フ、そうだよな」

「先に行ってもらえますか?ここ、簡単に片付けてから行きます」

「うん、解った」

「あ、縁側、そのまま出られるようにサンダルを置いてますから。みんなのも置いてるんですが、多分呼ばれないから、とっくに気がついて履いてるんだと思います」

「そうだよな。困ってたら、今頃、恵未ちゃ~ん、て、どっちも呼んでるだろうから」

「恵未ちゃ~ん!」

あ。

「は~い。どうしたのかしら。まさか、池で…濡れちゃったとか」

「いいや。あの感じだとそうじゃない、催促だよ多分」

「はやく~。きて~」

「フ、ほらね?悲壮感がない」

「ほんと」

フフ。もう掬えたのかも知れない。

「行こう。掬うところを見せたくてしょうがないんだろ。ここは後でも大丈夫だろ、俺も手伝うからさ。行かないと煩いから行こう」

「はい」


「あ、みてー。えみちゃん、はやく。みて?」

鮫島さんと一緒に縁側から降りて近寄った。

見せられた小さい容器の中に赤い金魚が一匹居た。尾を振り振り泳いでいた。

「凄~い!掬えたの?千歳君凄い!」

「うん。しゃちょうが、こうやってしようって」

池の淵にしゃがんで、後ろから千歳君を抱きかかえていた。

「ぽいはいくらでもあるが。…決めた一匹を追い回すから…この通りだ」

あ。フフ。もうふやけて壊れたぽいが何本もあった。

「このきんぎょがかわいいんだもん」

フフ。どうやら浮気はしないのね。これと決めた金魚を取れるまで頑張ったのね…。
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