運転手はボクだ
「もうそろそろ時間ですよ~。
5、4、3、2、1…はい、終了、終わりですよ~。はい、止めて~」

「いまはいってるのはいい?」

丁度ぽいに入ったところだ。容器に入れた。

「千歳君だからOKでしょ」

「やった!」

二人共、同じくらい掬っていた。

「よし、数えよう。しっかり間違えないようにな」

…。

一匹ずつ掬って池に戻す事にした。私が社長のを、鮫島さんが千歳君の金魚を数えた。二人はじっと見つめていた。勿論、不正はない。

「…6匹。…7匹。千歳は7匹だ」

「8匹。旦那様は8匹です」

「ということは、私の勝ちだな。千歳、私の勝ちだ」

「惜しかったな、千歳。一匹負けた」

鮫島さんが頭を撫でて、ポンポンとした。

「うん。でも…まけてもいいんだ、ぼく。おもしろかった!」

大人…。

「金魚、飼うか?」

「え?でもぼくまけちゃったよ?」

ん?

「飼いたかったら2、3匹飼うか?金魚鉢に入れて」

「…とと?」

あー、どうやら内緒の約束は勝ったら金魚を飼う事だったのね。

「どうかな~。餌やりもしないといけない。水だって換えないといけない。それに…」

生き物は死んでしまう。それは悲しいと思う…。

「あ、千歳君ができるように、私も助けますから。どうです?」

無事に育ったとして、金魚の寿命ってどのくらいだっただろう。

「明日、業者が来るから、朝まで考えてみて決めたらいい」

「飼ってみたいか?千歳」

「うん、かってみたい。おせわする」

「んー、じゃあ…飼ってみるか」

「うん!かう」

「よし、じゃあ、金魚鉢を持ってくるように言っておこう」

「すみません、社長」

「私が勝負に勝ってしまった詫びみたいなもんだ」

きっと、勝っても負けても、勝負に関係なく金魚は飼う事になっていただろう。

「あ、手を洗って、すいか、食べましょうか。準備してきますね」

「ああ」

「しゃちょう」

「ん?」

千歳が社長に近寄って何やら話している。社長が屈んで抱き上げ耳を寄せた。千歳が顔をくっつけて両手で内緒話のようにしているから、肝心なところは聞こえて来ない。

「しゃちょうがかったから、ととと、えみちゃん、おでかけだね。ぼく、いいこでおるすばんする」

「そうだな。私と留守番だ」

…ん?俺と恵未ちゃんがどうした、何の話だ?…。一体、何を話してるんだ?
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