four seasons〜僕らの日々〜
「す、すみません!すぐ行きます!」

慌てて涙をぬぐい、笑顔を作る。

「お客さんいっぱいいるの。とても楽しみ」

先輩は笑いながら、蓮に声をかけに行った。

「時間切れみたい。行かなきゃ!」

椿が言うと翔は黙って手を放した。

「……がんばれよ」

歩き出した椿に、翔が呟く。椿が驚いて振り返ると、翔は微笑んでいるように見えた。

翔が優しくしてくれるなんてありえないことだ。彼は本当に大切な人ーーー好きな人以外には、きっと優しくしない。

嬉しさで心が少し救われる。

「ありがとう!!」

大声で椿は言うと、体育館へと走った。



ジュリエットの衣装に着替え、メイクをしてもらい、台本を読んで始まるのを待つ。

衣装の赤いドレスを着て鏡の前に立つと、自分じゃないと椿は何度も思った。

普段スカートを履かないためか、不思議な感じがする。椿は何度も「おかしくない?」とみんなに訊ねた。

「おかしくないよ〜」

みんなはそう言い微笑む。その時、扉が開き衣装に着替えた蓮が入ってきた。

空気が一瞬で変わった。まるで枯れた大地に一輪の花が咲いたように、漆黒の闇を照らす一筋の光のように、世界が華やかになっていくーーー。

「どうかな?」
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