four seasons〜僕らの日々〜
しかし、その思いは高校に入学して一瞬で邪魔された。

「ねえ、あの人かっこいいね〜!」

教室で男の子は本を開く。それを邪魔するように女子が話しかけてきた。

「ねえ、どこの中学校出身なの?」

男の子は冷たい目で女子を睨みつけた。女子の体がびくりと震える。

「……邪魔をするな」

その刹那、教室の穏やかな空気が一瞬で張り詰めた。クラスメートが話をやめ、何事かと男の子を見つめる。

そんな空気の中、「おはよう!」とのん気に話しかける男子がいた。空気はさらに重くなる。

「昨日は眠れた?俺、緊張しちゃったんだよね〜!」

冷たい目の男の子に、男子は明るく話し続ける。

「あっ!俺、坂本空。スポーツとカラオケが好きな十五歳です!」

そう言い笑う空に、男の子は嫌気がさした。苛立ちが募る。

「くだらないからさっさとどこかへ行け。俺はお前のことなんて、どうでもいい」

睨みつけると、クラスメートはさらに怯えるが、空は笑顔のままだ。
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