four seasons〜僕らの日々〜
「よろしくね!」

空はそのあともずっと男の子に話しかけてきた。入学式が終わったあとも、同じだった。

「好きな食べ物は何?俺はオムライス!」

「本読むのが好きなの?俺はマンガ派だなぁ〜」

「おすすめの曲とかある?俺はおすすめのボカロ、いっぱいあるよ!」

集中して本が読めないので、男の子は帰ることにした。

教室を出ても空はしつこく話しかけてくる。静かだった心が揺れた。

心を覆っている氷にヒビが入り、冷たい風が吹いた。

「うるさいぞ!!黙れ!!」

男の子が怒鳴ると、やっと空は口を閉じた。ゼエゼエと男の子は荒い息を吐いた。体じゅうが熱い。

しばらくすると、男の子と空を何人もの生徒が取り囲み始めた。どうやら怒鳴り声を聞きつけたらしい。

駆けつけた生徒を一人ずつ睨みつけながら、顔を見ていく。その中に気になる顔を男の子は見つけた。

その女の子は周りの人と同じように、怯えた目をしているが、どこか違うと男の子は思った。封印していた記憶が蘇る。

あの目はーーーあの時いじめれていた女の子の目……。

俺が今しているのは、あの時と同じこと?

頭の中でそんな思いがぐるぐると回る。
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