four seasons〜僕らの日々〜
君が歌ってくれるから
君が優しくしてくれるから
前を向いて歩こう
小さな声で美桜が歌う。蓮の聞いたことのない曲だ。
「それはボカロ?」
美桜の歌声に胸を高鳴らせながら、蓮は訊ねる。美桜は顔を赤くし、恥ずかしそうにしながら言った。
「えっとね……今、思いついた歌…です」
「えっ!?じゃあ作詞作曲?」
蓮は驚いて立ち上がる。同時に嬉しかった。自分と同じことをする人が目の前にいることに、安心した。
「そういうことになるのかな?」
美桜は照れくさそうに笑う。蓮は、美桜の小さな手を優しく包んだ。
「……続き、聴かせて?」
美桜は無言で頷き、息を吸う。
暗い過去を覆い隠して
好きなことを諦めた
でも心に残るのは
後悔と虚しさだけ
奇跡のように君に出会って
大切なことを思い出した
君のようにうまくは伝えられない
だけど歌い続けるよ
君がいてくれたから
ここにあふれる奇跡がある
今度は私が君に伝えるから
待っていて
今、君に言う
ありがとう
美桜の優しい歌声が響く。ピアノはなくても、きれいな旋律が蓮の心を掴んだ。