four seasons〜僕らの日々〜
蓮の寝顔を楽しんだあと、美桜は手話の練習を始めた。ピアノの音も、歌声もない静かな音楽室はいつもと違い、美桜は時が止まったみたいだと思いながら手話を続けた。

しばらくすると、蓮があくびをしながらゆっくりと顔を上げた。

「う〜ん……。美桜ちゃん?」

美桜は「おはよう!」と言いながら、右手でこぶしを作り、こめかみの辺りに当ててから、下ろした。

「おはよう」

蓮も微笑みながら、同じように手話で『おはよう』と言った。

「寝ちゃってたみたいで、ごめんね」

そう言う蓮に、美桜は首を横に振った。

「そんなことないよ!貴重な瞬間でーーー」

「貴重?」

蓮が首を傾げる。美桜の顔が赤くなった。

「な、何でもないです…」

蓮の寝顔を思い出し、また胸が高鳴った。

「あっ…これ…」

蓮は体にかかっていた美桜のブレザーをたたみ、美桜に渡した。

「ありがとう」

蓮は笑顔で言う。美桜の顔はさらに赤くなった。
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