four seasons〜僕らの日々〜
「……ごめん、こうするしかできない」

うつむく蓮に、美桜は優しく微笑む。

「ありがとう」

美桜が笑ってくれたことに、蓮は少し安心した。あの二人も違う話をしていて、こちらには見向きもしない。これでずっと手を握っていられる。

触れた手の温もりが温かい。美桜とたまに目が合うことが嬉しい。とても近い目線に、恥ずかしくすぐに目をそらしてしまう。それがくすぐったくてたまらない。

幸せな時間は景色が流れていくように過ぎていく。何も話さなくてもよかった。隣にいるだけで、温かい気持ちであふれるのだから。

電車が降りる駅に着くと、少し寂しかった。つないだ手を離さなければならない。

「着いたね、楽しみ!」

美桜が笑顔を向ける。その笑顔を見て、蓮は「そ、そうだね」とぎこちなく頷く。

美桜は蓮を不思議そうに見つめたあと、優しく微笑んだまま言った。

「手、つないだままでいい?はぐれると怖いから」

その言葉に蓮の胸は高鳴った。鼓動が早い。
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