four seasons〜僕らの日々〜
二人で並んで歩き始めるが、会話が見つからない。

重い沈黙が流れていく。

蓮は椿の横顔をチラリと見た。その幸せそうな表情にやっぱり胸が痛む。美桜と過ごす時のような幸せは感じない。

「ねぇ……」

椿が立ち止まった。蓮も「どうしたの?」と言い、立ち止まる。

「蓮は私のこと……好き?」

椿はまっすぐ蓮を見つめた。その目には、不安が見える。

「……」

蓮は何も言えない。椿と付き合っているのに美桜が好きだからだ。

何も言わないままでいると、椿の目に涙がたまっていった。

「椿ちゃん……!」

「私は蓮が好き!大好き!ずっと…ずっと前から、誰よりも……」

傷つけたくない、そんな気持ちで蓮の口から言葉がこぼれる。

「僕も、椿ちゃんが好きです」
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