カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「あたしなんて、どうすればいいんですか? 仕事も半人前、学歴もないし、……胸もないし」
しゅんって可哀そうなくらい肩を落としちゃって。
あぁもう……しょうがないなぁ。
なんとかテンション上げてあげないと、仕事させてもらえなさそう。
「わかったわかった。どんな人がいいの? 気を付けておくから」
「ほんとですかっっ!!」
おいおい、劇的復活しすぎ。
「ありがとうございますっ! いえいえ、全然高望みはしないんですけど、例えばこんな人とかっっ!」
ラムちゃんが素早く取り出したのは……ヴィラ。
女性ファッション誌だ。
これはきっと、最初から用意してたな。
その周到さに感心してしまいながら、付箋を貼った見開きページをのぞく。
それは——インタビュー記事だった。
細身のブラックスーツを着こなした男性を俯瞰めに写したカット。それをなんと片面いっぱいに使ってる。
私は思わず、ひゅうっと軽く口笛を吹いた。
一般人でこんな大判に耐えられる顔なんて、なかなかお目にかかったことがなかったから。
吸い込まれそうなほど優美なアーモンドアイ、もの言いたげに少し開いた形のいい薄めの唇……。一見、クールビューティって呼びたいほど整った容貌なのに、冷たい印象を受けないのは、瞳に浮かぶどこか楽し気な光のせいかもしれない。
「ね? ね? イケメンでしょっ!?」