カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「ま、金曜でしょ、飲み会。楽しみにしてるよ。大河原さんの話、たくさんしてあげるから、楽しみにしてて」

誰がするかっ!
「はい、何卒よろしくお願いいたします」

吐き気をこらえながら、頭を下げて見送って。
がっくり肩を落とした。

一気に気分は急降下。

申し訳なさそうに話す今朝の日下課長を思い出してしまい、軽くこめかみを押さえた。
せっかく今まで忘れてたのにな。

——今度の金曜ってことになっちゃった。ほんと、ごめんね。真杉さんの歓迎会って言われたら、連れて行かないわけにいかなくて……

わかってる。
最近はもうずいぶん回数減ってきてるけど、それでもやっぱり、接待は避けて通れない営業の仕事の一つだ。


「真杉さま」
「はい」
「樋口より、第2会議室でお待ちくださいとのことです。そちらのエレベーターから3階へお願いいたします」

行きたくないなんて言ってたら、営業なんてやっていけないしね。
大丈夫。切り抜けてみせる。


私はお礼を言って、エレベーターホールへと向かった。
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