カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「お、いい飲みっぷりだねえ兄さん! 日本酒好きなのかい?」
「はい。でもこれは初めて飲みました。さっぱりしてておいしいですね」
「そうかい、気に入ったならもっと飲みな!」
「いただきます」
「お兄さん、これも試してみな。うまいから」
「え、そうですか?」

席なんかあっという間に関係なくなって、人が入り乱れて、乾杯の嵐となり。
店内は、もはやどこの宴会場ですか、って状態だ。


一体なぜ……なぜに……こんなことになってんの?
私はもう、呆れかえって言葉もでない。



イメージ的に、真逆な店を選んだはずだったのに。


ここは日本で。日本らしい、下町の小さなお店で。
彼は海の向こうから来た、異邦人で。

小さな椅子にハマりきらない大きな体は窮屈そうで。
手書きメニューも黄ばんだ壁も、キラキラオーラには似合わない。

ビジュアル的には間違いなく、浮きまくってるのに。


なのに、どうして……誰より馴染んでるように感じるんだろう?
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