カボチャの馬車は、途中下車不可!?
とくんとくんとくん……
視線の先。
そこにいたのはもう、天使でも悪魔でもなく。
王子様でもなく。
生身の人間。
一人の男だった。
とくんとくんとくん……
「飛鳥、顔赤いね。酔っぱらっちゃった?」
「えっ……あ、うん。そうね。ちょっと飲みすぎたかな」
体の中が熱いのは。
鼓動が脈打つのは。
呼吸が苦しいのは。
きっとお酒のせいで。
そして、気のせいだ。
胸の奥、今までとは違うリズムが……刻まれているような気がするのは。