カボチャの馬車は、途中下車不可!?

「兄ちゃん、ありがとな! ごちそうさん!」
「またいつでも来るんだよ! サービスするからね!」
「幸せになんなよ、お二人さん!」

お店の閉店時間ギリギリまで騒いだ私たちは、大勢の声に送られながら、迎えに来た例の高級車に乗りこんだ。

重なり合うように後部座席に倒れ込むなり、くすくす、2人して笑いあう。

「こんなに楽しく飲んだの、久しぶりだな」
「うん、私も……楽しかった」


引き寄せられるまま、その肩に頭を預けて目を閉じた。


弾力あるレザーシートのせいなのか、まとわりつくアルコールのせいなのか。
急激に、全身から力が抜けていく。

なんだろ。
ものすごく、気持ちいい——


「飛鳥、眠いの?」

「うーん……ちょっと」
答えながら、彼を振り仰いだ。
「ごめん、重かった?」

身体を起こそうとした私の腕を、ライアンが軽くつかむ。

「ねえ飛鳥?」
くくっと、含み笑いが聞こえた。

「んー……?」
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