カボチャの馬車は、途中下車不可!?
「僕がどうして、パーキングに自分の車置きっぱなしにして、こっちの車呼んだかわかる?」
どうして、こっちの車、を……?
回転の鈍い頭を振って、思考をまとめようとした。
ええと……そっか。
運転手だけ呼んで、あのSUVを運転してもらうっていうこともできたわけで……
「えっと……この車の方がくつろげるから……とか?」
「まぁ正解、かな」
「『まぁ』?」
「どうしてくつろげるか、ってところがポイントなんだけどね」
そして私の耳元に、唇を近づけた。
内緒話をするみたいに——。
「この車はね、……密室になるんだよ」
ウィン……
どこかから小さな電子音が響いて。
運転席後ろの隙間に、壁がせりあがっていって……後部座席とを遮断してしまった。
映画みたいなハイテクシーンに、おぉお〜って呑気に手を叩いていると。
ぐるりと視界が回り——
「えっ……?」
気がつくと、私の体はシートに押し倒されていた。